大ホール【バレエ・フォー・ライフ】モーリス・ベジャール・バレエ団2008年日本公演

人生3度目の「バレエ・フォー・ライフ」
舞台が暗転コンサートのようにフットライトが激しく光り
そして薄暗い照明の舞台
白い布ですっぽりと全身を覆って横たわるダンサーたちが
QUEENの「It's a Beautiful Day」の音楽で一人また一人と上半身を擡げ
白い布から顔を出して始まる
とても好きなシーン
その布をぐるぐると丸め各々が抱え歩き
広げなびかせ
身にまとい
布と戯れた後に再び丸め
バケツリレーのように横に並ぶ人に渡し
布がはけ人がはけ
新しいシーンへと展開されていく
全体の構成としてわかり易いストーリーはなく
若くして逝ってしまった才能あるジョルジュ・ドンとフレディ・マーキュリー
彼らへのオマージュとして製作された作品は
様々な印象的なシーンを集めた
QUEENモーツアルトの楽曲と伴に広がる散文詩的な演目
私のお気に入りは小さな白い空間に
次々と男性ダンサーたちが上がりこみ
ひしめき合う「RADIO GA GA」
男子中学生の馬鹿っぽさを感じたり
待機中の精子のようだったり
何より楽しそう
仰向けにきれいに寝っころがって積み重なっていく様など
むやみに苦しそうなのだけれども
楽しそうなのだ
そして3方の壁が倒れ男性ダンサーたちが片足を手に持ち
跳ねながら散らばっていく
その後に静かな「A Winter's Tale」
半裸の男女と枕から撒かれる羽毛
その脇で舞う男性ソロ
全体的に男性ダンサーが見せる舞台
厚底の靴で現れたり
ユニオンジャックの衣装をつけたり
羽をつけたり
金属のボールに入ったり
レントゲン写真の前で踊ったり
正面からライトを当てて影と踊ったり
次から次に踊れる人が出てきて気持ちがいい
また、女性ダンサーもスタイルがよくて気持ちがいい
そしてポアントをつけてもつけなくとも
足が美しい
4thでポアントで立つだけであっても
ポアンとでトコトコと歩くだけであっても美しい
アラスゴンドに振り上げた足が
センターに向かって撓んでいたりして
舞台の奥で素足からポアントを履く様子が伺えたのも
少し得した感じでうれしい
曲に間に合うかハラハラしながら見入ってしまった
そして最後は再び白い布をかぶせ
静かに横たわる
何度か照明が点きダンサーが座った状態でポーズ
フィナーレは「The Show Must Go On」
ダンサーたちが足並みをそろえて歩く歩く
ジル・ロマンがダンサーたちを迎え
歩く歩く
端端であざとかったりもするのですが
何しろもうベジャールがいないのですから
それだけで私は感無量
一緒につれていった同居人も満足してくれたようで嬉しい
今まで見た作品の中(芝居含めて)で「一番照明が良かった」と
3階席のセンター4列目とちょっと離れた席からの鑑賞だったのも良かったのかも