小劇場【怒りをこめてふり返れ】新国立劇場主催「JAPAN MEETS...−現代劇の系譜をひもとく−」シリーズ第12弾


子供の事情のチケットが新国立劇場のサイトで取れないかと思い覗いてみたら
新国立劇場企画の芝居には珍しく追加公演が決まっているのを見つけて思わず購入
上手に行くにしたがって客席に飛び出しす変形した奥行きのある舞台
下手寄りに座った私の席からはそれが災いで
私の前の列の斜めに座った男性が座高が高く
そのせり出した部分が全く見えない!
客席の段差があり舞台が見えないと思ったことがない劇場だけれど
今回は厳しかった
しかもその場所で結構重要なシーンが繰り広げられたりする
冒頭からジミー(中村倫也)の圧倒的な量の台詞
圧倒的だけど何言ってんだか頭に入ってこない
なんかこの人言ってるけどハイハイって聞き流しちゃう感じ
おこちゃま感全快
妻アリソン(中村ゆり)に対しても友人クリフ(浅利陽介)に対しても傲慢で不遜
クリフがまだ読んでいる新聞を欲しがり
クリフとじゃれあいアイロンがけをしているアリソンにぶつかり
アリソンがアイロンで火傷すると部屋を出て行くって
どんだけ子供なんだ
ジミーの口から機関銃のように発射される言葉は
自分は凄い、他の奴は馬鹿だ的モラハラ発言ばかり
妻のアリソンが妊娠した旨を夫に伝えあぐねている時点で
この関係は破綻していると思うわけだが
時代やら、環境のしがらみやら、強引に結婚した経緯やら
且つ共依存状態で離れられない二人
妻のハンドバックの中身を勝手にぶちまけてみたり
二人だけになた時にしおらしく謝り甘えるシーンなど
恐怖でしかない
その二人の間にいるクリフは緩衝地帯なのかサンドバッグなのか
クリフ自身も自分の存在意義をここに認めているのか
不思議な均衡を保って生活しているところにやって来るアリソンの友人の女優ヘレナ(三津谷葉子
低い声が良い、空気が変わる
テーブルに白いテーブルクロスをかけ
ジミーと一緒になってからは行っていなかった教会に誘い
アリソンの父親に電報を打ちアリソンを迎えにこさせたり
一変する
ジミーの自分語り
スペイン内戦で負傷した父の死に逝く様を見送った辛さ
如何に虐げられ辛い目にあってきたかを告白する
追い討ちを掛けるように知らされる数少ない支援者の友人の母の危篤
一緒についてきてくれとアリスンに頼むが断られ
ジミーの留守の間に家を出る
アリスンから託された手紙を渡すヘレナがジミーとベットを共にする
もう、なんのこっちゃだ
数ヶ月が過ぎ今度はヘレナが下着姿+ガウンでアイロンを掛け
相変わらずジミーとクリフは新聞を読みながらふざけている
明るくて良い雰囲気にも見えるが何か違和感があるよう
クリフはこの共同体から抜けようと思っているし
ジミーは相変わらず怒っている
ヘレナが一人になった部屋にアリスンが訪れ再会
アリスンは流産したことを伝え
ジミーとならこの苦しみが共有できると告白し
ヘレナはこの家を出ると決め
最後は熊のジミーと栗鼠のアリソンがお互いを求め洞穴で暮らそうと幕
これはハッピーエンドと言えるのか
私にはこれから続く苦しい生活のスタートにしか思えない
イギリスの演劇界の地殻変動を起こしたというこの作品
私の底が浅いのかそこまでの衝撃はなかったけれど
(既にこの演劇上演後の時代に生まれているわけなので)
腹が立っているというのは良く分かった
役者の演技の質なのか
思いのほかスッと入って抜けていった
パンフレットに日本での初演情報が載っていたが
文学座公演
訳・演出が木村光一さん!ジミーが仲谷昇さん!クリフが小池朝雄さん!アリソンが伊藤幸子さん!ヘレナが岸田今日子さん!
名前を見ただけでおなかがいっぱいになる
叶わないけど観てみたい