【四谷怪談】渋谷・コクーン歌舞伎 第十五番

息子が今日も相方の実家に泊まるという報告をお昼過ぎに受けて
まず頭に浮かんだ公演
公演を知ってから行こうかどうか悩んで諦めていたので
終業後すぐ電車に乗り渋谷へ18時30分開演直前に辿りつき
当日券3階立見席2500円
上(かみ)ほぼ1/3見切れて前のシートに座る客は思いっきり身を乗り出して観ているけれど
結構自由な大勢で見ることができたので
2500円の大満足
四谷怪談は何度見ただろうか
とはいっても松竹歌舞伎は1回かな
でも10年前のコクーン歌舞伎四谷怪談は北番・南番とも観ている
(実はあまり覚えていないけれど)
筋は何回見ても落ち込むほど見失ってしまう
だけれども痛いシーンは体が覚えていて
来るぞ来るぞとなると手からジワリと汗がにじみ出てくる
顔を剥ぐところと指を折るところとかお岩から蚊帳を毟り取るところとか
だけれども今回の演出は私の覚悟以上の痛さは感じさせずさらっとした感じ
もしかしたら私の期待値が上がってしまっているのかも
だったとしたらそれが怪談なのかもしれない
とはいっても全体的にさらっとした印象
四谷怪談を十分知っていいる人に向けての演出のよう
戸板返しも提灯抜けもなく
ギリシャ悲劇のようなお袖と直助の種明かしも実にあっさりとした処理
おどろおどろしさを前面に出すというよりは
サラリーマンの人や大正時代あたりの服装の人を往来させて
現在に通ずる思い込み、すれ違い、思い違いが引き起こす
悲惨な出来事として提供しているのかも
忠義と言われてもなんだかよくわからないですから
今回特に印象に残ったのは
『元の深川三角屋敷の場』でお袖が直助と与茂七それぞれに
行燈の火が消えたのを合図に切りつける算段を耳打ちするところ
それまでの演出のながれもあって客席からちょっとした笑いが
私としてももう手に汗が出てるのに!と驚いたのだけれども
直助と与茂七が切りあわせるのかと笑わせておいて実は、、、の方が悲劇が強いかも
それと
首藤さんの歌舞伎っぽい小汐田っぷりと
亀蔵さんの歌舞伎っぽくない宅悦っぷり
バカっぽいお梅もかわいらしかった
というか今回はみんなちょっとバカっぽい
バカは少し語弊があるけれど
身近なちょっと残念な人臭さがする
少し込み入った話をする友人だったら
「とりあえず逃げて〜」と助言したくなる人ばかり
炎の幕と不道明像と天にかかる梯子等現実離れした装置だけれども
とても身近に感じた四谷怪談でした
そういえば同じぐらいにチラシの束に入っていた前進座四谷怪談も見に行きたかった
絵としてはこちらの方が好き