【欲望という名の電車】

ブランチ

3日前にチケットを手に入れて
でも、直前まで観に行くのはどうかなぁと逡巡していた
ガラスの動物園」は
観た後なんかいやぁな気持ちになった作品の一つ
あらすじを読んでも到底希望的な未来を予想させる話ではないし、、、
観に行きたい要素は
長く上演されている作品だということ
篠井さんがブランチを演るということ
北村有起哉さんがスタンリーを演るということ*1
そしてチラシが良かったこと
で、観に行けて良かった
後半は涙腺崩壊
もの凄く面倒くさいブランチに涙が止まりません
優しいステラがまた良い
可愛くて優しくて強くて逞しくて包容力のあるステラ
そんな彼女と貧しいながらも子供も出来て
友だちとボーリングやポーカーを楽しむ幸せな生活に
突然現れたエキセントリックなステラの肉親の姉
そして見下されたスタンリーの苛立もとても良くわかる
でも、ブランチに泣いてしまう
古風な黒い上等な洋服に身を包み
お高くともって慇懃
そのブランチの過去が彼女の口から
ステラの口から
スタンリーの口から語られる毎に
孤独な魂が見えてくる
なんだか負のスパイラル
親が財産管理をしっかりしていて
それに見合った男性と結婚していれば
ちょっと個性的だけれども楽しく優しい奥さんとして
全う出来たかもしれないのにと思うと
また哀れ
ブランチの決定的な過去を突き止めたスタンリー
ブランチに入れ込んでいる友人ミッチに教えるのはまだ良しとしよう
肉親で慕っている妹であるステラに明け透けに伝えるのは
やはり粗野で下品というしか無い
で、好き好きと1シーズンを過ごし意外な過去で終わりを迎えてしまったミッチが
やらせてくれよと迫るのはわからなくも無いけれど
妹が出産のため居ない所で
過去を暴きやり込めて気を失ったブランチに被さるスタンリー
何なの!
本当に「あなたのような人が姉さんを傷つけたのよ」を体現するなよ
全く
テネシー・ウィリアムズ、凄まじい
最後は白いドレスで部屋を出て行くブランチ
残された人は黒
客席の私も黒い終演
ブランチと言えば杉村先生
観ていないけれど杉村先生
80歳になっても演じた作品
設定から見れば若い俳優さんが演じて妥当な作品
なので若い北村さんや小島さんや伊達さんがとてもお似合い
フランス語がわからないのでフランス語でウロウロされても困るのですが
キシキシとした空気みたいなものなのかとも思う
ブランチの声が時より聞き取れない程小さな所もあったけれど
それが何と言うか精神のバランスを崩した人のそれっぽい感じ
清々しい気持ちでは終われない芝居なので
週の頭とか、日曜とかに観るとすこぶる滅入るかも
木曜日がちょうど良いかも
なので今日で正解
しかも泣いて涙腺もすっきり
パンフレットの
演出の鈴木さんと翻訳の小田島さんと役者の篠井さんの対談も
面白く且つ作品を見る助けになって
満足

*1:北村有起哉さんが北村和夫さんのスタンリーを観ていないというのは意外