金貸しの日本史 (新潮新書)

金貸しの日本史 (新潮新書)

三井の中興の祖とされる三井高利、その子高平、孫の高房が残した『町人考見録』によると
江戸時代の大名が両替屋に対して借りた金を「返せません」と開き直る「お断り」なる行為
その常習犯だったのが細川家だったらしく

「だいたい、大名貸しの筋は同じこととはいうものの、その中で特に細川家は前々からけしからぬお家柄で」

と名指しで批判されている
なんでも細川家への大名貸しでつぶれた両替屋は7人にものぼるらしく
何だかとっても自由人な家柄なのかも
それに対して下層庶民へは
例えば朝100文借りて夕方に1文の利息を付けて返す「日銭貸し」という金融があって
年利に換算すると360%と暴利ながら
これは貸す方も借りる方も結構使える
仕入れのお金を借りて1日ちゃんと商売ができれば余裕の返済が可能
現在では1週間利子のつかないローン商品があるのだから
こういう手段で収入を得ている人は案外いるのかも
経済・経営の勉強は大学の一般で単位をもらうために出席していただけなので
こういう本は内容がいちいち目新しい
「ゴールドスミス原理」もようやく輪郭をぼんやりと理解
「無いものを貸してしまう」
これを実践し始めた人たって絶対尋常でない精神構造の持ち主
こんなことで商売している国と交渉を始めた幕末大名、武士たちの苦労は相当なもの
そして金の流出も甚だしく長期の銀安傾向だったロンドン市場が
日本から持ち込まれた小判の影響で金安になったというんですから