抱く女

抱く女

8月の中旬から読み始めて
息子のボール遊びの相手をしながら
ようやく読了
1972年の9月から12月までの吉祥寺あたりの小さな世界のお話
私は生まれたばかり
私の母より少し下の世代
1970年代の女性の4年制大学の進学率は10%にも満たないのだから
この酒屋の娘はだいぶ恵まれている
1990年代に私は大学に進学したのだが
女の子だからと4年制大学の進学をあきらめた同級生もいた
しかしこの酒屋の夫婦は子供3人大学にやって
長男は無事に卒業し就職したものの
次男は内ゲバで撲殺
末っ子は大学もろくに行かず
雀荘やジャズ喫茶に入り浸り
挙句の果てはこれからどうなるかもわからないボーヤと暮すと
家を出てしまったのだから
「私たちの子育ては失敗してしまったのだろうか」と
だいぶ思い悩むに違いない
最近凶悪犯罪が増えたような報道が多いが
こんな日常であったのならば
よほどこのころのほうが酷い感じがする

この中に高橋和巳の『邪宗門』が出てくる]
何となく読み過ごしてしまったが
なんだか引っかかって調べてみたら
大学生のときに宗教の授業で読んだ本だった
題名と作者はすっかり忘れていたけれど
「面白かった」と記憶していて
ふと読み返したく思っていた本だった
再会できてラッキー
というか
多くの若者がページをめくっていた本であったのを知らなかった
私の無知さに今更ながらおののく
実は同居人が持ってるかもとか言うし
邪宗門〈上〉 (朝日文芸文庫) 邪宗門〈下〉 (朝日文芸文庫)