【藪原検校】こまつ座&世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター+こまつ座の前回(2012年)公演は
出産の為見れず
再演がうれしい
午前中出勤にしていたので
ほんとギリギリに滑り込む
いったん幕が開くと暫くは入場できない演出だったようで
太夫の山西さんの掴みの語りが一段落すると
遅れてやってきた方々が
ちょろちょろと案内されて着席していた
あの語りでぐっと作品の中に引き引きずり込まれたので
本当に開演に間に合ってよかった
久しぶりの世田谷パブリックシアター
舞台も客席も天井が高くて好き
客席の上には青空もついている
舞台は客席に向かって傾斜のあるいわゆる八百屋舞台
目を引くのは赤いロープ
さまざまに見立てて場が進んでいく
主役の検校が動く場では
盲目の世界の広がりのように
ポッと検校の周りだけ明かりがともるような感じ
太夫による筋・解説の場では
パッと大きな空間が作られる感じ
2007年の古田新太主演・蜷川幸雄演出を見ていたので
面白さはわかっていたのだけれども
改めて面白かった!
醜男設定なので
申し訳ないけれど古田さんに比べたら野村さんはシュッとしすぎていて
どうかなぁなんて思ってましたが
凄いエネルギー
目が見えないんだから本人にしてみたら
美醜はどうでもいいのかも
前半の見せ場の「早物語」の口と体の淀みなさが
凄すぎる
これこそ芸なんだと見ていて感服
演者の鍛錬と知識が試される役
見ているこちら側の知識のなさがもどかしい
そもそも初演の1973年に客席にいた人たちは
検校という存在を私より
エンターテイメントとして知っていただろうと思ったのが
パンフレットの黒鉄ヒロシさんのコラム
「不知火検校」や「座頭市」について書いてあって
初演のころはもっと前知識として当たり前だったことが多かったに違いない
なにしろ「不知火検校」の主人公の名が『杉の市』
しかもどうやら相当な悪党
不知火検校自体は宇野信夫の戯曲「沖津浪闇不知火」でフィクション
しかしこの薮原検校に出てくる塙保己市は
実在の人物がモデル(塙保己一
この錯綜がずっと面白く感じられたのではないかと思う
叶うならもう一度観たい!
パンフレットに掲載されていた
作者と実兄井上滋さんとの2ショット写真
ヘルメットかぶって作業服来た兄と
ジーパンにセーターというラフな作者との対比が
面白く素敵な写真
なんか色々楽しめたパンフレットだった
この上演期間中劇場内ロビーに
井上戯曲の過去上演された芝居のポスターが数貼られていて
終演後に気がつき、急いで見て回った
実際観た作品は作品を思い出し
観ていない作品は劇場・演出家・演者を見て
どんなんだったろうかと思いを馳せた
もっとじっくり確認したかった
また、この世田谷パブリックシアターで上演された『ロマンス』のポスター
作者と役者の写真という異色のポスターなのだけれども
木漏れ日の中こちらに向かって微笑む写真が
とても素敵


客席へ上がる階段の様子
ここの空間好き