【昭和の子供】─追悼・西島大


・装置:阿部一郎 ・照明:宮野和夫 ・音響:堀江潤 ・舞台監督:安藤太一
・衣裳 コーディネート:竹原典子 ・製作:紫雲幸一 ・宣伝美術:早田二郎

小田急沿線の大学に
千代田線乗り入れで4年間通っていたのにも関わらず
代々木上原駅で降りるのは初めて
帰りは小田急代々木八幡駅から
小さめなスタジオに可動式の椅子
舞台には客席を割って作られたスペースから出掃けもする
小さなスペースならではの臨場感
それでいてちょっと遠い時間
昭和2年生まれの西島が1960年安保の時代に描いた
軋んだ世界と叫び
主人公は昭和元年生まれ
名前は昭二
兄は連座した226事件で処刑され
皇国少年として生き終戦を迎え
売れっ子作曲家として活躍し
60年安保に参加する十数歳年下の女性と婚約中
元の妻はバー「コギト」を経営し
奔放な妹と
貞節ある姉は羽振りの良い旦那に使えている
某政党の代議士や
労組の専従として活躍している元同士
突然現れる右翼少年
色んなものがないまぜに舞台に上がる
その中で昭二の弱々しいこと
右翼少年にも
婚約者にも
太刀打ちできない
そんな昭二の慟哭で幕が閉じる
でもこれは、60年安保から
あっち側に行けない人たちの
ずっと連なる負けの系譜なのかも
そんな中で私が驚いたのは
新しい世代として描かれた
バー「コギト」で働く女性
14年生まれ
うちの父と同い年です
当たり前ですが、親の世代が新しい世代として象徴されていた時代があったんですね
その一方昭二の姉の漏らした若い頃はずっと戦争でいいことなかった
というのは悲しいばかり
いずれにせよ人を殺すことに意味を見出す価値の中で生きるのは
辛いと思います
右翼少年もね