【東京原子核クラブ】俳優座劇場プロデュース


  • マキノノゾミ
  • 演出
    宮田慶子
  • 出演
    田中壮太郎 石井揮之 若杉宏二 小飯塚貴世江
    西山水木 田中美央 二瓶鮫一 檀臣幸
    佐川和正 渡辺聡 外山誠二 佐藤滋

大江戸線の開通や東京ミッドタウンの開業やらによって
ここ数年変化し続けた六本木駅
街のわりにしょぼかった日比谷線のみの六本木駅から大分様変わり
今回は大江戸線に乗って到着
昔はもっと出口表示で「俳優座」が目立っていたのに
探せません
開演時間が迫って急いでいるのに少々涙目
六本木交差点を目印に地上に上がる
俳優座の前だけは私が知っている六本木
お馴染みのエントランスを見てホッとする
「東京原子核クラブ」は2度目
前回は2年前
演出は同じく宮田慶子さん
同じ俳優座
舞台は本郷の下宿「平和館」
平和館の各部屋の入り口を臨むエントランスで
大東亜戦争或は太平洋戦争或は第2次世界大戦
を挟んだ十数年の時が流れて行く
理化学研究所の原子物理学者
友田晋一郎(モデル:朝永振一郎)を中心に描かれる青春群像
冒頭、下宿を去ろうとエントランスに下りたきた友田を
ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」が迎える
日当たりの良い穏やかな空間
野球のユニフォームを身に着けた下宿生が部屋から現れ
友田に挨拶をし玄関から飛び出して行き
ピアノの音が止み
亜麻色の髪の乙女が流れ出ていた部屋から出てきたのは
ステテコに茶色の腹巻きを巻いた博打打ち風情の男
その瞬間にすっと舞台に引き込まれる
うまいぞマキノノゾミ
時は昭和7年(1932年)
ドビュッシー亜麻色の髪の乙女の発表は1910年(多分)
当時としては大変新しめな曲
新しいく且つ美しい曲を選ぶセンスとその風貌と行動のギャップ
物語は登場人物や時代の様々な驚きとギャップと
そして理研に集う学者達の業が絡み合って
進んで行く
化学を勉強し飼い犬にガロアと名をつけた
下宿屋の娘の桐子さん
ダンスホールの踊り子から始まって玉の輿に乗ったり
シスターになったかと思えば
大陸を慰問する男装の女優になったり
めまぐるしく変化する富佐子さん
数少ない女性陣が要所要所で笑い泣き輝く
素敵な舞台
最後の桐子さんが叫ぶ「富佐子さーん」に思いが集約する
そして、また素敵な女優さん二人
マキノノゾミさんが書いた戯曲だけに
役に重ねてM.O.Pの役者の顔が思い浮かぶ
初演メンバーを確認したら
三上市朗さん、キムラ緑子さん、小市慢太郎さん、木下政治さんが思った通りの役で出演されていました