終生ヒトのオスは飼わず

終生ヒトのオスは飼わず

『私の死亡記事』で締めくくられる
随筆集
前半と後半とで大分毛色は異なるけれど
コトに対する姿勢は常に熱い
猫好き犬好きならば
涙無くして読み終えることはできない
第1部と
家族のことを綴った第2部
第2部は今までまとめて目にすることの無かった内容で
おもしろい
地下に潜っていた父親のこと
(実際に地面に潜っていたのだと思っていたのだと)
3カ国語を操り60歳にしてフランスへ留学した母親のこと
偽名を使って家族でチェコへ渡ったこと
チェコソビエト学校のこと
共産党のこと
言葉はほんの断片でしか無いけれど
驚くことばかり
巻末の年表を見て
米原さんの作品に触れられたのが
ほんのわずかな期間であったことに
また寂しくなる