【円生と志ん生】こまつ座 第119回公演

初演も再演も観ているはずなのに
どんなだったかあやふやなまま観劇
たぶんほぼ満席
空席のない客席を見るのは嬉しい
チケットを相当ぎりぎりになって購入したのだけれど
座席の希望を最大限に叶えてくれたこまつ座さんに感謝
芝居が始まってラサールさんが高座に上がって開口
今までのこまつ座にない演じ方が新鮮
続いて登場した大森さんも新鮮(私はね)
アンサンブルの女優4人はこまつ座っぽいので私の頭がちょっとぐらぐら揺れ動く感じ
芝居もなんだか覚えているのだけれども
シーンシーンで「あっなんか見た」と思い出す感じで
私の記憶力の貧弱さを思い知る
が、最後の修道院の屋上の場
思い出しました!
菅野三鈴さんの歌う声、姿が美しすぎてボーっとしたことを
見上げるように聞いていたので
初演はもっとずっと前の席だったことも思い出したり
「この曲を聴きたかった」と再演で思ったことも思い出して
記憶のトリガーって不思議
今回も修道院の場が印象的だったのは間違いないのだけれど
他の場も相当印象的
主演を張られたラサールさんと大森さんの熱演は勿論のこと
アンサンブルの4人の女優さん方も素晴らしく
特に元々好きなので贔屓目で見てしまうけれど池谷さんが良い!
旅館の仲居さんだったり店番の女学生だったり見習いの修道女だったり
とにかくいちいち良い
期待以上に楽しませてもらった
最後の修道院の場など特に太田さんとキャッキャ、キャッキャ愛らしく観ている私も楽しくなる
この太田さん、パンフレットではバタ臭い顔だな思ったのに
後ろの席から臨んだせいかも知れないが
舞台上で演じる姿がバタ臭くなく上手だなぁと感心していたところ
最後の修道院の見習い修道女ではバタ臭さがバーンと全面に出て
日本人が運営する修道院なのにバタ臭い修道女
ロシア人と日本人の間にできた私生児なのでは?
と勝手に想像が膨らんでいって
演じわけをちゃんとしているんだなぁとますます感心してしまった
バタ臭さが薄れた要因は元ジェンヌである大空さんと並んでいたからかもしれない
今回強烈にやられてしまったのが火焔太鼓の段
価値のなさそうな古道具に込められた思いを語る4人の女性の亡霊がとても切ない
わが子への愛情が込められている母親の思いに一瞬にして涙腺が決壊してしまった
最近メディアでは聞かなくなった残留孤児のなのだけれど
ここ数年職場で残留孤児として過ごされた方と間接的にかかわることがあり
その方々の顔が思い出された
そして矢張り最後の修道院の場
ぱっと照明が明るくなりとてつもなく面白く展開されていくのだけれど
テレジア院長の「人間は、いつかは死ななければならない。生きていれば必ず艱難辛苦におそわれる。だからこの世は「涙の谷」と言い、そこに笑いはないのです。」の説教に答える志ん生の台詞が
先だって観た「ワーニャ伯父さん」のソーニャを思い出させた
「この世は「涙の谷」というなら、どうせ不幸や災難は襲い掛かってくるでしょう。どんな不幸も悲しみも笑いで乗り越えよう、その災難を素敵と思って乗り越えようというわけですよ」という台詞
この世を耐えて生きていきましょうというソーニャにも伝えてあげたい
そのほか雑感
終演後は雲田はるこさんと井上麻矢さんのトークショー
雲田さんファンも多かったらしく客席がそわそわしている感じ
ファンとしてはもっとそこ突っ込んでよ!
とか思ってるんだろうなぁと
私はtwitterのアイコンのような方を想像していたのだけれど
男前な人だった
いつもながら読みでのある「The座」であったけれど誤植が多かった
井上さんが書いた年表がとても面白くてこれを見るだけでも買ったかいがある
関西生まれのラサールさんが江戸言葉、東京訛を喋るのにいろいろ観察していたようなのだが
樋口一葉」を「しぐちいちよう」と言っていたのが変に私のツボに入ってしまった
演奏を担いながらも小芝居する朴勝哲さんがチャーミング
来年の公演だけれどラサールさん演出、柳家喬太郎さんが太鼓もちの「たいこどんどん」
超楽しみ!